Works

観測の部屋

Kazumi Inada, 2025 / Mixed Media

人々の生活する空間に横たわる、見えない流れや構造を「観測」する装置群からなるインスタレーション。

地図、時計、パーティクルが飛び交う航空写真、ときおり瞬く明かりなどの奇怪なオブジェクトが並び、展示室で静かに動き続ける。鑑賞者は普段の生活の視点では意識されない不可視なシグナルの存在に触れ、身の回りの社会を身体を離れた視点から観察する体験をする。

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展示構成

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  1. つくば市内でのフィールドレコーディング
  2. AI の散歩による仮想地形のシミュレーション
  3. つくばセンターのバス発着時刻(1・4・5・6・7・8 番のりば)
  4. AI の散歩による通過経路
  5. つくば市中心部の道路のトポロジー

展示室の時間は壁にかけられた時計の針に従って早回しで進み、10 分で 1 時間が経過する。展示室の照明やオブジェクトもこの時間に沿って変化する。

つくば市内でのフィールドレコーディング

ラジオからはつくば駅周辺で録音されたフィールドレコーディング音源が鳴っている。足音、アナウンスの音声、行き交う電車や車の音、鳥の鳴き声など、街に点在する音の断片がリアルタイムな組み合わせによって、街を仮想的に行き来するかのように再生される。

木の作業台の上に置かれたデスクライト、額、古いラジオ
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つくばセンターのバス発着時刻(1・4・5・6・7・8 番のりば)

壁にかけられた装置のスイッチは、つくばセンターのバスの発車時刻にあわせて動き、表示灯を明滅させる。6 つの乗り場をそれぞれ示すランプの光と音の重なりは、奇妙なリズムのようにも聞こえる。

AI の散歩による通過経路と仮想地形のシミュレーション

大規模言語モデルにストリートビューの画像を与えて進む方向を決めるよう求めることを繰り返し、実際の街を「散歩」させる取り組みの出力物。数千回にわたる「散歩」について、セッションをサンプリングした経路の図と、道ごとの通過回数を高低差に変換した仮想地形に粒子を流すシミュレーション映像が示される。

つくば市中心部の道路のトポロジー

地図の道路のつながりを維持したまま交差点の位置を削除し、立体空間に浮かせたシミュレーションを撮影した図。交差点(ノード)間をつなぐ道路(エッジ)は元の長さに応じた張力によって引き合い、全体が丸く収縮する。図の各所には交差点のもとあった場所の町名が示されている。

額装された、白い紙に青い線が複雑に絡まるように描かれた図
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クレジット

Mixed Media

Kazumi Inada, 2025

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